メンテナンスって必要?
痛みがなくなった後こそ考えたい身体のケア

「またあの痛みを感じたくない……」
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「いつも決まってこの時期にぎっくり腰をするのよね」
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「やっと痛みがなくなったけど、またあの痛みを感じるのは嫌……」
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「自分で気をつけているつもりだけど、本当にこれだけで予防できるのかな?」
長く悩まされていた腰痛や膝痛が改善すると、ほっとしますよね。
痛みを気にせず歩ける。
旅行や買い物を楽しめる。
仕事や家事も普段どおりにできる。
そんな日常が戻ってくるのは、とても嬉しいことです。
でも、そこで一つ疑問が生まれます。
「痛みがなくなったら、もう身体のケアは必要ないの?」
今回は、痛みが落ち着いた後の「メンテナンス」についてお話しします。
① メンテナンスとは?
メンテナンスという言葉には、「維持する」「管理する」「良い状態を保つために手入れをする」という意味があります。

例えば、車を想像してみてください。
故障した車は修理が必要です。
しかし、修理が終わったからといって、その後何もしなくていいわけではありません。
定期的にタイヤやオイルの状態を確認し、必要に応じて整備しますよね。
身体も同じように考えることができます。
痛みが強いときには、まず症状の改善を目指す。
そして痛みが落ち着いたら、今度は良い状態を維持し、再発のリスクを減らすことを目指す。
これが、当院の考える身体のメンテナンスです。
ただし、メンテナンスは必ずしも「定期的に施術を受けること」だけを意味しません。
自宅での運動、食事、睡眠、生活習慣の管理も、大切なメンテナンスの一部です。
そのうえで、必要に応じて専門家に身体を確認してもらうことも、一つの選択肢になります。
② 例えば歯科医院では・・

身体のメンテナンスを考えるうえで、分かりやすいのが歯科医院です。
皆さんは、歯が痛くなってから歯医者さんに行きますか?
それとも、虫歯や歯周病を予防するために定期的に通っていますか?
歯の健康を守るためには、毎日の歯磨きが欠かせません。
しかし、歯ブラシだけでは歯と歯の間など、磨き残しが生じやすい場所があります。
そこでデンタルフロスや歯間ブラシを使ったり、必要に応じて歯科医院で専門的なケアを受けたりします。
つまり、
自宅でのケアと、専門家によるケアには、それぞれ役割があるのです。
ここで重要なのは、歯科医院に通っているからといって、毎日の歯磨きが不要になるわけではないということ。
反対に、毎日歯磨きをしているからといって、専門家による確認が一切必要ないとも限りません。
身体のケアも、これと似ています。
自宅でできることを続けながら、必要に応じて専門家の力を借りる。
ただし、歯と筋肉・関節では病気の仕組みも予防方法も異なるため、歯科と同じ頻度で身体の施術を受ける必要がある、という意味ではありません。
③ 自宅だけのケアで気をつけたい3つのこと
もちろん、自宅でのセルフケアはとても大切です。
実際、腰痛の再発予防については、痛みが落ち着いた後も運動を続けることが役立つという研究があります。
ただし、自分一人で管理していると、気づきにくいこともあります。
1.以前の生活習慣に戻ってしまう
例えば、腰痛がひどかったとき。
「運動不足だったから、少しずつ歩こう」
「無理な筋トレは控えよう」
「仕事の合間に身体を動かそう」
そう決めて、頑張っていたとします。
ところが、痛みがなくなって数か月。
忙しくて運動をしなくなる。
以前と同じように無理な筋トレを始める。
長時間座りっぱなしになる。
いつの間にか、以前の生活に戻ってしまう。
こんなことはありませんか?
人は、困っているときほど気をつけます。
しかし、困らなくなると、注意していたことを忘れがちです。
痛みがなくなったことで、痛みにつながっていた可能性のある生活習慣まで忘れてしまう。
これが、気をつけたいことの一つです。
ただし、生活習慣だけがすべての痛みの原因になるわけではありません。大切なのは、自分の症状に関係していた要因を振り返ることです。
2.間違ったセルフケア
「腰痛にはこのストレッチがいいらしい」
「テレビで紹介されていた筋トレをやってみよう」
健康のために取り組むこと自体は素晴らしいことです。
しかし、その運動が今の自分に合っているかどうかは、別の問題です。
例えば、以前は適切だった運動でも、体力や症状が変化すれば、運動量を調整した方がよい場合があります。
また、自己流で続けているうちに、正しいと思っていた動きが変わってしまうこともあります。
「身体に良い運動」と「今の自分に合った運動」は、必ずしも同じではありません。
痛みが強くなったり、運動後の不調が長引いたりする場合には、内容や負荷を見直す必要があります。
3.小さな変化を見過ごしてしまう
身体の変化は、いつも痛みとして現れるわけではありません。
例えば、
以前より歩く距離が短くなった。
階段を上るのが少しつらくなった。
片脚で立つとふらつくようになった。
こうした変化が、少しずつ起こることもあります。
毎日同じ身体で生活していると、変化に気づきにくいものです。
もちろん、これらが必ず腰痛や膝痛の再発につながるわけではありません。
しかし、早めに気づけば、運動や生活習慣を見直すきっかけになります。
④ 専門家と行うメンテナンス

では、専門家による定期的な確認には、どのような意味があるのでしょうか?
1.今の身体に合ったケアを選べる
身体の状態は、いつも同じではありません。
仕事が忙しくなった。
運動量が減った。
旅行でたくさん歩いた。
体力がついて、以前より動けるようになった。
こうした変化に合わせて、必要なケアも変わることがあります。
専門家による評価を受けることで、今の状態に合った運動や施術を検討できます。
2.セルフケアが正しくできているか確認できる
以前教わった運動でも、時間がたつと方法を忘れたり、自己流になったりすることがあります。
そんなときに動作を確認してもらえば、
「今はこの運動を続けましょう」
「もう少し負荷を上げても大丈夫そうですね」
「今の症状なら、こちらの方法に変えましょう」
といった調整ができます。
メンテナンスは、ただ施術を受ける時間ではなく、自分で身体を守る方法を確認する時間にもなるのです。
3.生活習慣を振り返る機会になる
「最近、運動は続いていますか?」
「睡眠は取れていますか?」
「仕事で無理をしていませんか?」
誰かに聞かれて初めて、
「そういえば、最近まったく歩いていなかった」
と気づくこともあります。
定期的に振り返る機会があることで、以前の生活習慣に戻っていないかを確認できます。
4.変化に気づき、早めに対応を考えられる
例えば、以前より動きにくくなっている。
特定の動作で痛みが出始めている。
運動量が急に減っている。
こうした変化を確認できれば、セルフケアの調整や、必要に応じた医療機関での評価につなげられます。
ただし、専門家がすべての再発を予測できるわけではありません。
大切なのは、身体の変化を一緒に確認し、対応を考えられることです。
⑤ メンテナンスで、本当に再発を減らせるの?
実際に、メンテナンスに関する研究も行われています。
2018年に発表された研究では、繰り返す腰痛や長引く腰痛があり、最初の施術で改善がみられた328人を対象に、定期的なメンテナンスと、症状が出たときに施術を受ける方法を比較しました。
その結果、定期的なメンテナンスを受けたグループでは、1年間で腰痛に悩まされた日数が平均約13日少ないという結果が報告されました。
ただし、この研究は特定の条件に合う人を対象としたカイロプラクティックの研究であり、すべての人やすべての施術方法に同じ効果があると証明したものではありません。
一方、腰痛が落ち着いた後の運動については、再発を減らす可能性を示した研究があります。
つまり、現時点で大切なのは、
「定期的に施術を受ければ必ず再発しない」ではなく、「自分に合った運動や管理を継続することが、再発予防に役立つ可能性がある」
ということです。
専門家によるメンテナンスは、その継続を支える一つの方法と考えられます。
⑥ すべての人にメンテナンス通院が必要なの?

答えは、必ずしもそうではありません。
自分に合った運動や生活習慣を継続できている。
身体の状態が安定している。
不調があれば適切に相談できる。
そうした方であれば、自宅での管理を中心にすることも十分考えられます。
一方で、
何度もぎっくり腰を繰り返している。
痛みが落ち着くと運動をやめてしまう。
自分のセルフケアが合っているか不安。
一人では生活習慣を維持するのが難しい。
そんな方には、専門家による定期的な確認が役立つかもしれません。
通院の必要性や頻度は、症状、再発歴、身体の状態、生活環境などによって異なります。
大切なのは、ただ何となく通い続けることではなく、何のためにメンテナンスを行うのか、目的を明確にすることです。
まとめ|痛みがない今こそ、身体を大切にする
私たちは、痛みがあるときには身体のことを真剣に考えます。
しかし、痛みがなくなると、その大切さを忘れてしまうことがあります。
メンテナンスとは、痛みが出るのをただ待つのではなく、今の良い状態をできるだけ長く保つための取り組みです。
毎日のセルフケアを続ける。
生活習慣を振り返る。
身体の変化に気づく。
必要に応じて専門家に相談する。
その積み重ねが、再発のリスクを減らすことにつながる可能性があります。
当院が目指しているのは、患者さんがいつまでも施術に頼り続けることではありません。
ご自身で身体を守れるようになること。
そして、必要なときには専門家の力も借りながら、やりたいことを続けられる身体を目指すことです。
「痛くなったら治す」から、「痛みを繰り返さないために身体を守る」へ。
痛みがなくなった今こそ、これからの身体との向き合い方を考えてみませんか?
参考文献
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Choi BKL, et al. Exercises for prevention of recurrences of low-back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2010.
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Eklund A, et al. The Nordic Maintenance Care program: Effectiveness of chiropractic maintenance care versus symptom-guided treatment for recurrent and persistent low back pain. PLOS ONE. 2018.
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World Health Organization. Oral health. WHO Fact Sheet.

