病院で「異常なし」と言われたのに痛い理由
「異常ありません」と言われた。
でも、私は痛いんです。

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「痛くて病院に行ったのに、『年相応ですね』と言われただけだった」
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「手術するほどではないから大丈夫と言われた。でも、毎日痛い……」
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「レントゲンもMRIも異常なし。それなら、この痛みは一体どこから来ているの?」
こんな経験はありませんか?
検査で「異常なし」と言われれば、安心する反面、
「じゃあ、どうしてこんなに痛いの?」
という疑問が残ります。
もちろん、病院の検査はとても重要です。
骨折や腫瘍、神経の圧迫、炎症など、治療が必要な病気が隠れていないかを調べるためには欠かせません。
しかし、ここで知っておいていただきたいことがあります。
「検査で異常が見つからない」ことと、
「痛みの原因が何もない」ことは、同じではないということ。
今回は、
病院でよく行われる検査で「何が分かるのか」、
そして「なぜ異常がないのに痛むことがあるのか」を解説します。
整形外科ではどんな検査をするの?
腰や膝、肩などが痛くて整形外科を受診すると、症状に応じてさまざまな検査が行われます。
代表的なものが、
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レントゲン
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MRI
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超音波(エコー)
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血液検査
です。
それぞれ得意なことが違います。
① レントゲン
レントゲンは、主に骨の状態を見ることが得意な検査です。
例えば、
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骨折
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骨の変形
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関節の隙間
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骨の位置関係
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脱臼
などを確認できます。
変形性膝関節症や変形性腰椎症などの診断でも使用されます。
一方で、筋肉や神経、靱帯などの柔らかい組織を詳しく見ることには向いていません。
そのため、
「レントゲンで異常なし=身体のすべてに異常なし」ではありません。

② MRI
MRIは磁気を利用し、身体の中を詳しく画像化する検査です。
レントゲンでは確認しにくい、
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椎間板
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神経
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靱帯
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筋肉
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半月板
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軟骨
などの状態を確認することができます。
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、半月板損傷などが疑われる場合にも使われます。
ただし、MRIにも限界があります。
画像は身体の「形」を見る検査であり、「どう動いているか」を見る検査ではないからです。
立ったとき、歩いたとき、階段を上ったときに身体へどのような負担がかかっているのかまでは、MRIだけでは分かりません。

③ 超音波(エコー)検査
超音波を身体に当てて、内部の状態をリアルタイムに確認する検査です。
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筋肉
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腱
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靱帯
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関節周囲
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炎症
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血流
などを確認する際に使われます。
肩や肘、足首などの症状では特に有用です。
身体を動かしながら観察できることも大きな特徴です。

④ 血液検査
「腰が痛いのに血液検査?」
と思われるかもしれません。
しかし、痛みの原因が必ずしも筋肉や骨とは限りません。
血液検査では、
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身体に強い炎症が起きていないか
- 痛みが内臓からきているものではないか
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感染症の可能性
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リウマチなどの疾患
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痛風などに関連する異常
などを調べる手掛かりになります。
つまり、病院の検査には、
「危険な病気や、医学的な治療が必要な異常が隠れていないかを調べる」
という非常に大切な役割があります。
なぜ「異常なし」なのに痛いのか?
ここからが重要です。
痛みと画像上の異常は、必ずしも一対一ではありません。
「異常がないのに痛い」という状況には、いくつかの理由があります。
理由① 画像には「身体の使い方」が写らない
例えばレントゲンでは、骨の状態を詳しく確認できます。
MRIなら、神経や椎間板なども見ることができます。
しかし、
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お尻の筋肉をうまく使えているか
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左右どちらかに体重をかけていないか
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歩くときに膝へ負担をかけていないか
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腰だけを使って立ち上がっていないか
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長年の生活習慣で特定の場所へ負担が集中していないか
といったことは、横になって撮影する画像検査だけでは十分に評価できません。
つまり、
「身体の構造に大きな異常がない」と分かっても、「なぜそこへ負担がかかっているのか」は別に調べる必要がある
ということです。

理由② 異常があっても「痛みの原因とは考えにくい」と判断されることがある
反対に、画像上には多少の変化が見つかっていることもあります。
しかし、
「この程度なら年齢相応ですね」
「手術するほどではありません」
と言われることがあります。

これは、
異常がゼロという意味ではなく、画像で確認できる変化だけでは現在の強い痛みを説明しにくい
という場合があります。
実際、腰痛のない人のMRIを調べた研究でも、年齢とともに椎間板の変性や膨隆などが高い割合で見つかっています。
2015年に発表された3,110人を対象とした研究では、腰痛のない50歳の人でも約80%に椎間板変性、約60%に椎間板膨隆が認められました。
つまり、
画像に異常がある≠必ず痛い
画像の異常が軽い≠本人の痛みも軽い
ということになります。
理由③ 原因の異常がすでに小さくなっていることがある
代表的なのが、腰椎椎間板ヘルニアです。
「ヘルニアは一度出たら、そのまま残り続ける」
と思われている方もいますが、実際にはそうとは限りません。
突出した椎間板の一部が、時間の経過とともに自然に小さくなることがあります。
研究では、保存療法を受けた腰椎椎間板ヘルニア患者の約63%で自然退縮が確認されたというメタ解析もあります。
ところが、
ヘルニアそのものが小さくなった後も、
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長期間かばっていた身体の使い方
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筋力低下
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動くことへの恐怖
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神経系の過敏さ
などが残れば、痛みが続くことがあります。
つまり、
「最初に痛みを起こした原因」と
「今も痛みを続けている原因」が同じとは限らない
のです。
「痛み」はレントゲンには写りません
ここは、とても大切なところです。
痛みは、
「身体が傷ついていることを知らせる警報」
として働きます。
しかし、慢性的な痛みになると、
身体の組織だけではなく、
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神経の働き
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過去の痛みの経験
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睡眠
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ストレス
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身体活動
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「動いたらまた痛くなる」という恐怖
など、さまざまな要素が痛みの感じ方に影響することが分かっています。
国際疼痛学会(IASP)も、痛みを単純に組織の損傷だけで決まるものとは定義していません。
だからこそ、
「画像に異常がないのだから、その痛みは気のせい」
では決してありません。
痛みがあるのであれば、痛みが続いている理由を別の角度から探す必要があります。
当院では「画像に写らない部分」を確認します
病院で検査を受けることは、とても大切です。
特に、骨折や腫瘍、感染症、重い神経障害などを見逃さないために、医師による診察や画像検査が必要なケースがあります。
そのうえで、
「病院では大きな異常はないと言われた。」
「手術するほどではないと言われた。」
「でも痛くて、今まで通り生活できない。」
という方に対して当院では、
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姿勢
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筋力
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身体の使い方
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左右のバランス
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日常生活での負担
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運動習慣
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痛みを繰り返してきた経緯
などを確認します。
そして、
「何が壊れているのか」だけではなく、「なぜこの身体に負担がかかり続けているのか」
という視点から、痛みを繰り返す原因を探していきます。
まとめ
レントゲンやMRIで「異常なし」と言われることは、悪いことではありません。
むしろ、
重大な病気や大きな構造的異常が見つからなかったのであれば、それは一つの大切な情報です。
しかし、
「異常なし=あなたの痛みには原因がない」ではありません。
画像には写りにくい、
筋力や身体の使い方、姿勢、生活習慣、神経の働きなどが関係している可能性もあります。
「歳だから仕方ないと言われた。」
「手術するほどではないと言われた。」
「でも私は痛い。」
そんなときは、
「異常があるか・ないか」だけではなく、
なぜ今も痛みが続いているのか
という視点で身体を見直してみることも、一つの選択肢です。
参考文献・出典
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Brinjikji W, et al. Systematic Literature Review of Imaging Features of Spinal Degeneration in Asymptomatic Populations. AJNR Am J Neuroradiol. 2015;36(4):811-816.
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Zhong M, et al. Incidence of Spontaneous Resorption of Lumbar Disc Herniation: A Meta-Analysis. Pain Physician. 2017;20:E45-E52.
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International Association for the Study of Pain(IASP). IASP Definition of Pain.


